動機 横山秀夫

 
平成3年「ルパンの消息」で第9回サントリーミステリー大賞佳作、
平成10年「陰の季節」で第5回松本清張賞
平成12年 第53回 日本推理作家協会賞・短編部門を受賞したのが 表題作の「動機」。
半落ち」、「顔(FACE)」で一気にブレイク。
元新聞記者らしく題材は刑事ものが殆どであるが、主人公は“無骨で生真面目”。
そこにある“寂しさ”と“悲しさ”に“優しさ”が絡む。同氏の本を何冊か読んだが、
“文字にならない文字で読ませる”タイプで、かなり“巧”。
私感としては、全体的に松本清張と重なり合う部分が多いような気がする。
さて、表題の「動機」であるが、文体、構成、描写どれをとっても本当に上手い。
一括管理テスト中の警察手帳30冊が紛失。
スリリングな顛末は一見の価値ありであること間違いないが、
読み終えた後、“見えない文字”が脳裏をよぎった。いずれにしてもオススメ。

動機 (文春文庫)

動機 (文春文庫)