信用取引の心


ある建材商社の会長さんの若かりし日の実話。
企業を立ち上げたばかりで自ら営業活動に全力投球していた。
ある日、離島の開拓に向かった時、下船の際に重そうな荷物を持った老女を見かけ、
「よかったらお持ちしましょうか?...」と声をかけ手伝ってあげたそうだ。
その日も毎度の事ながら開拓に悪戦苦闘。
そして遂に同地区№1のトップゼネコンに飛び込んだ。
地元大手がガッチリ入り込んでいる先。
なんとか開拓したいという一心であった。
するとそこにどこかで見た老女がいる。
「あっ、この人よ 私の荷物を持ってくださった親切な方」。
前述の老女は同社の社長婦人であったのである。
「是非この人から取ってあげてください」となり、
一発で"信用"を勝ち取ったのは記すまでもなく、
以降代替わりした現在に至るまで資材納入はオンリーだという。
賛否両論かも知れないが、人と人を一番強固に繋ぐのは"心"ではなかろうか。
企業活動も然りで、商売もただモノを売るだけであれば、
平成の世における営業マンの存在価値は希薄。
やはり"信用"に勝る商品はこの世に存在しないのである。